日本心血管画像動態学会は、21世紀最初の年、2001年11月30日〜12月1日に最初の学術集会が岡山で開催されたが、これは2つの研究会、即ち日本心血管内イメージング研究会と日本冠内圧研究会が発展的に解消されて誕生したものである。日本心血管内イメージング研究会は8回の歴史を、日本冠内圧研究会は3回の歴史を持っており、2つ研究会の11回に及ぶ活動を継承する意味を込めて、新学会の学術集会は第12回と呼称された。
心血管内イメージング研究会(代表世話人:山口 徹)は、冠動脈の血管内超音波検査(IVUS:Intravascular Ultrasound)を中心とした、主として冠動脈内の侵襲的イメージングの研究会として1993年12月4日に最初の研究会が品川のコクヨホールで開催された。IVUSや血管内視鏡など、心血管内からのイメージングによる形態学的評価により、冠動脈疾患の病態、病変の評価、それに対するPCIなど治療法の選択、治療効果の確認等を研究テーマとする研究会であった。またドプラーガイドワイヤー(ガイドワイヤー型ドプラ血流速計)による冠血流速度計測も冠動脈狭窄の機能的評価法として、解剖学的評価法との比較検討を中心に議論された。長年、冠動脈造影法が冠動脈疾患の病態理解、診断、治療のgold standardであったが、新しい情報の登場は、新しいPCI器具である冠動脈ステントの登場とも相まって、冠動脈疾患やPCIへの理解を大きく転換させることとなった。特にIVUSは、欧米とは異なり、1990年に薬事法承認を取り、1996年に保険収載されたため、わが国ではPCI時の補助診断法として広く活用することが可能となり、この研究会の隆盛につながった。IVUSの保険収載と普及は、わが国でのより安全性の高い、より効果的な(再狭窄が少ない)PCI実施に大きく貢献したと思われる。IVUSによるバルーン拡張後の再狭窄機序、血管リモデリングの発見や、ドプラーガイドワイヤーによる急性心筋梗塞時の微小循環障害の評価は、新しい心血管内イメージングの大きな功績であろう。
日本冠内圧研究会(代表世話人:伊吹山千春)は、プレッシャーワイヤーによる冠動脈内圧測定により、冠動脈病変による冠灌流障害を機能面から評価する研究を中心的テーマとして立ち上げられた。冠循環の障害度を個々の病変で評価しうる本法は、PCIの適応判断や拡張効果の判定に新しい情報を提供することとなり、またPCI器具としても活用できる点で画期的であった。本法も冠動脈造影をはじめとする形態学的診断法との比較検討がなされ、プレッシャーワイヤーによる残存狭窄度の評価が再狭窄予測に役立つことなどが示された。
しかしPCIの現場では、これらの各種診断法のどのような活用法がより効果的かが問われ、各種診断法間の情報交換が是非とも必要である。その意味で、全てのmodalityを包括した形の学術集会であることが望ましく、ここに日本心血管画像動態学会が誕生する必然があった。新学会として発足するに当たっては、めざましい進歩が見られる非観血的な心臓血管の画像診断法との情報交換も不可欠であるとの認識から、CT、MRIのある放射線科の先生方にも参加を呼びかけ、心臓血管病をより広い視点から形態的かつ機能的にとらえることができる学会を目指し、ここに日本心血管画像動態学会が立ち上げられた。この学会が末永く、心血管病領域の中心的存在であり続けることを期待する。
2009年2月 初代理事長 山口 徹
(虎の門病院院長)
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